ねえねえ、そこの暇そうな君。

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:559 hit

最高ランク : 20 , 更新： 2020/05/10 3:07:13

うん、そうそう、君だよ。

暇なのかい？……そうか、なら僕の作った法螺話でも聞いてってよ。
暇なら聞いてくれるよね？

ある日、僕は男に心臓を一突きされて死んだんだよね。
けど、血を垂れ流して倒れてる僕の所に鴉がやってきた。

｢強い欲を示せ。欲しろ。さすれば我は汝に力を与えん。｣

そう言って旋回してた。僕の最初の欲は“生きたい”だった。
夢だったかもしれないね。
気が付いたら冷たい母さんの隣で寝てたから。
母さんは殺されてた。僕は鴉に復讐を望んだ。
けれど鴉はこう告げた。

｢其れは我の力では不可だ。サタンに頼め。｣

『サタンって誰？君の名前も知らないのに…』

｢ふん、下らぬ…我はマモンだ。好きに呼べ。ではな。｣

僕の質問には答えずに飛び立って行った。
その晩の夢には狼が出た。

｢……貴様か。生憎だが、憤怒が無ければ妾は動かぬぞ。｣

『君がサタン…？憤怒って…？』

｢貴様は何かに怒りを覚えたか。…母なる者を殺した者に怒りを覚えたか。｣

『……』

そう言われて、突然頭の中で何かがブツンと切れる音がした。

『当たり前だ！！僕は彼奴を許さない！！絶対に殺す！！殺してやる！！』

｢…悪くないな。良いだろう。妾の力を貸してやる。存分に踊れよ、小童。｣

サタンという狼はそう言って僕を爪で切り裂いた。

そこで目が覚めた。

アハハッ、続くと思った？
僕が飽きちゃったからもうこの話はおしまーい！
…また暇になったら何時でもおいでよ。

御伽噺でも作ってあげるから、ね？