小芋さん

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数日間世話をしてた猫が亡くなって2週間、何か未だにネットを触る気力も湧かなかったのだけどとりあえずどこかに書き殴りてぇ()

って思ったのでここに((
何の脈絡もない自己満足投稿です。



その猫は大雨の翌日に家の前で行き倒れていて、慌てて自分の務めている動物病院に連れて行ったら慢性の腎臓病。
腎臓病とは腎臓が機能できなくなる。
それによって毒素が分解されずに尿として排出出来ず、体内に溜まってしまう。

その溜まった毒素は粘膜を溶かすわけで、その猫は口内の粘膜、つまり歯茎が溶けてた。

先生に「どうする?」と聞かれた。
このどうする?とは生かすのか殺すのかという意味で、私は生かす方を選んだ。

生かす為に病院に行った。


私は病院でよく安楽死を目の当たりにするけれど、「この子が苦しんでいるから」と皆が言う。
私はこれが「苦しんでいるのを見ているの私が耐えられないから」と聞こえる。
苦しくて辛いのは飼い主の方。
犬や猫はそれでも生きようとしている。

それも、飼い主の決定だしそれ以外の気持ちもあるかもしれないから言わないけど。
でも苦しんでいる姿を世話するのも責任だと私は思う。


話がそれたので戻すと、家に連れて帰ってその子に「小芋」と名付けた。
今飼っている家の猫の名前の頭に「小」と付ける共通点と、前に飼っていたご長寿さんのポテトさんに顔が似てたから。
この子は22歳まで生きた。人間でいうと余裕で100歳超え。
それにあやかって長生きしてほしいという事で小芋さん。

毎日の点滴と強制給餌。
どちらも半年前に亡くなった猫や、今肝臓、腎臓病の犬猫にしていることだから慣れている。


1日目、小芋さんは私が1人で点滴を打ったが抵抗しなかった。
出来なかった。
1匹点滴している猫は走って逃げるのに、手足1つ動かさずにいた。
声も出せずにずっと横たわっていた。

それでもご飯をあげなくてはならない。
膝に寝かせて、出来るだけ上体を起こしてご飯をあげる。
1人では皿に入れた水は飲んだがご飯は食べない。
それでもシリンジから口の中に入れていくとごくりごくりとしっかり喉に通していく。

その姿に半年前に亡くなった子を思い出した。
死ぬ直前でも口を動かして喉を動かして水を飲んだ。
「生きる」と言っているようだった。

そうしてあげていると、ダダダダダッと滝が地面を叩くような音がした。
慌てて見ると、小芋さんが私の膝に大量のおしっこをしていた。

腎臓は他の臓器と違って治らない。
一度悪くなると良くなる事はない。
点滴でおしっこを作って、毒素を溜めないようにするのみ。

おしっこが出るということはまだ大丈夫なのだと、びちょびちょになったスカートを見て嬉しくなった。
1番最悪な状態になるとおしっこも出なくなってしまう。


2日目、初日より体調が良くなっているようだった。
ニャーと声を出すようになり抵抗をし出した。
逃げるのかと思ったが、用意した小屋に入っていく。
そこが安全だと思ったらしい。

その頃にはもう、最初は名前をいくら呼んでも無反応だった小芋さんは私が名前を呼ぶとわざわざ起き上がって顔を見せてくれてニャーと鳴いた。


3日目、小芋さんの寝ているタオルに吐血跡のようなものがあった。
それは吐血ではなく消化器官の粘膜が溶けたものだ。
胃粘膜が溶けている。
こうなると、ご飯を入れてもどこまで栄養として吸収出来るか分からない。
量を入れ過ぎるとまた粘膜と一緒に吐いてしまう。
少しずつ少しずつ。


4日目の朝、小芋さんの吐いた粘膜量が前日の比でなかった。
病院に電話し、誰もまだ来ていないことを確認。
すぐに連れて行った。
とは言え出来る事はやはり点滴、それから抗生剤を打つくらい。


「抗生剤、次に打つ時も連れて来ないとダメですよね」


点滴は家でしているけれど、今度からは2、3日に一度の抗生剤も必要になる。
毎度病院に連れて行くのも疲れてしまうだろうし待ち時間があるなら尚の事、と思って聞いただけだが先生には笑われた。


「液だけ注射器で吸って持って帰ってもらって、家でつぶさんが打ってもいいよ。
でもこの状態の子だと2、3日もつか分からないよ」


これはただの延命治療。
可哀想だと言う人もいるだろうけど、私は生きている間に悲観的になる必要はないと思っている。

今点滴している2匹も、薬と点滴をやめることは出来ないが走り回って元気にしている。

それが命を延ばす事としか意味しないわけがない。


「それでも生きるかもしれないし、生かす為に世話をしてますから。
2、3日と言わず1ヶ月でも2ヶ月でも1年でも、先があるかもしれないなら考えておかないと」


けれど小芋さんは病院から帰ってすぐに亡くなった。


病院の帰り、小芋さんを抱っこして帰る。
小芋さんと名前を呼ぶと私の顔をじーっと見てまたニャーと鳴いた。
顔を上げて私を見た後、外をキョロキョロと眺めて元気になったのかと思ったが、もしかしたらこうして色んな物を目に焼き付けていたのかもしれない。

自分が暮らしてきたその場所と、死ぬ直前に過ごした人間の顔を。

家に戻ってまたご飯をあげる。
その前に抱っこしながら少しの間ゆっくりとして、その時またダダダダダダッと滝が落ちた。

病院でついでに点滴をしてもらったからだろうかと見たが、少しの違和感を覚えておしっこではなく小芋さんの顔を見る。

小芋さん?と、何度呼びかけても反応はない。
開ききった瞳孔に全てを悟った。
小芋さんは私の腕の中で静かに息を引き取った。

半年前の子は苦しんで錯乱状態で逝ったから、この子は眠るようで良かった。
良かったけど、良くない。


小芋さん、あれだけ顔を見ていたら覚えているだろう、次に家に来る時は元気でなくても構わないからもっと早くにおいで。
せめて手遅れになる前に出会わせて。


亡くなってすぐそれはそれは悲しくて、一動作する度に涙が出た。
座って泣いて、立ち上がって泣いて、それでもまだ生きている犬猫にも点滴をしなければならないから気をしっかり持たねばと思うも泣きながら点滴して。
仕事に行って先生に報告する間は我慢したが、奥の部屋に入った隙に少し泣いた。


私は元々動物看護師になりたかったわけではなかった。
保護の道に進みたい。
保護の方に向かいたくて獣医学部を受けたが、国公立獣医学部の倍率の高さに負けた。
浪人の道も考えたが、予備校に行くお金を考えると保護の方には行くのは難しいと感じた。
結局獣医師も自分で病院を持たなければ収入は多くない。
経済的に困難なので諦め、看護師資格なしで病院に勤めた。
そこの先生はあまり学校を出た看護師が好きでなく、昔ながらの病院内で教える形を好んでいた。
念の為の知識として簡単な通信講座の資格だけは持っているが、それだけの私に先生は色々させてくれている。

受付や電話番、保定はもちろんだが、点滴、手術のモニター操作に麻酔、入院の子の世話、薬の用意と色んな経験をさせてくれている。

私は保護の方に向かいたい。
それも、介護できないと捨てられた老犬や老猫の。
それを先生は後押ししてくれている。


言ってしまえば小芋さんにした事はまさに私がやりたい事のそれなのだ。

猫のおしっこなんて汚いと思わない。
口が溶けていようが気持ち悪くなんて思わない。
病気があったって年を取っていたって可愛い。

可愛くて仕方がない。

それでも自分の1匹1匹への想いの深さが、この職業に向いていないのだろうとこういう事がある度に思わされる。
毎回毎回こうも心を壊していたら立ち直れなくなるかも。
だいたい、家で飼ってる子達の死も今のところであと14回残っている。

心が折れそう。

それでもきっとその道を諦めきれず、落ちていればまた拾ってしまうのだろうけど。

おおつぶ


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