桃太郎だけが知ること 【短編小説】
小説 桃太郎最高ランク : 13 , 更新: 2023/01/20 5:49:47
昔々のそのまた昔。
都の立派なおうちに、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。おじいさんの名前は『桃太郎』といいました。
二人は仲が良く、ちゃんと貯金をする真面目な人でした。
立派なお家は、桃太郎の育てのお父さんとお母さんにプレゼントしたものです。もう今はこの世にいませんが、大切に住んでいます。
桃太郎とおばあさんは、二人で川で洗濯をしに行きました。
『動かないと、すぐに足腰がダメになるからねぇ』
というのが、二人の口癖でした。
じゃぶじゃぶと洗濯物を洗っていると、川上から
どんぶらこ、どんぶらこ
なんと、大きな桃が流れてきました。
桃太郎は、慌てて陸に引き上げました。まじまじとその桃を見て、笑い出しました。おばあさんも笑っていました。
「あっはっは、わしの親が言っていたことは本当だったんじゃな!」
「そうですね、てっきりおとぎ話かと思いましたよ。うふふ」
桃太郎が桃を担ぎ上げ、家に持って帰りました。
二人は、慎重に桃を机の上に乗せました。どうにか切ろうと鉈を取り出すと、不思議なことに、桃はパッカーン! と割れました。
ほぎゃあ、ほぎゃあと元気な男の子が出てきました。
桃太郎とおばあさんの間には子供ができなかったので、たいそう喜びました。
「桃太郎さんや、これは天からのお恵みものですね」
「そうだな、わしもこうして生まれたんじゃ」
二人は、桃から生まれた子に『桃太』と名付け、可愛がりました。
桃太は、あっという間に大きくなりました。
桃太郎は毎日楽しそうに、桃太が生まれたことと、自分の武勇伝を話しました。桃太は、桃太郎の武勇伝が大好きでした。
三人は幸せでした。
ある日、桃太は言いました。
「いいなぁ、僕も鬼退治してみたいなぁ」
かっこいいだろうな、と言いました。
そういうと、いつも二人は笑って
「鬼は桃太郎が退治したから、もういないんだよ」
となだめました。
そうだった、と桃太はおばあさんのきびだんごをほおばります。毎日のように、飽きることなく繰り返していました。
おばあさんは、門を叩く音に目を覚ましました。
なんだろう、こんな時間に来客? と、おばあさんは門を開きました。そこには、前から仲良しだった男がいました。
名前は、甚平です。
「あら、甚平さん。なにかあったのかしら?」
「た、たたたたっ! 大変なんすよ!」
甚平は、焦って言いました。
「奴が······、鬼が現れた!」
嘘だと思いました。しかし、甚平の慌てっぷりに信じるしかありません。おばあさんは、桃太郎と桃太を起こしに行きました。
「桃太郎さん、桃太! 鬼が現れたんですって! 桃太郎さん?」
桃太は起きてきました。しかし、桃太郎の姿がありません。
部屋に行くと、布団の中は空っぽでした。そして、窓が開いていました。桃太郎は用心深く寒がりなので、そんなことはしません。
きっと拐われたんだと、誰もが思いました。
みんな、泣いていました。
そんな中、桃太が声をあげました。
「僕が······、僕が鬼退治に行きます!」
みんな無理だと思いました。でももう、頼れるのは桃太しか居ませんでした。藁にもすがる思いで、桃太にきびだんごを渡しました。
桃太郎が着ていた服を着させ、刀を持たせました。
桃太は、鬼ヶ島に向かって歩いていました。と、草むらが揺れました。銀色の毛に覆われた、狼でした。
「お腰に付けているのは、きびだんごですか? もしそうなら、おひとつくださいな」
「僕は今から、鬼退治に行く。付いていくなら、あげましょう!」
「付いていきます!」
狼が、仲間になりました。
一人と一頭は、鬼退治に向かって歩いていました。また、草むらががさがさいいました。
飛び出してきたのは、茶色のタヌキでした。
「少年よ。君はもしや、きびだんごをお持ちで? もしそうならば、おひとつ頂戴な」
「僕は今から、鬼ヶ島に行く。付いていくなら、あげましょう!」
「もちろんお供します!」
タヌキが、仲間になりました。
一人と二頭は、鬼ヶ島に向かって歩いていました。すると、クルポッポー! も鳴き声が聞こえます。
灰色の、鳩でした。
「こんにちは! きびだんご持ってるでしょ? ひとつ頂戴!」
「僕は今から、鬼ヶ島に行く。付いていくなら、あげましょう!」
「ついていくよ!」
鳩が、仲間になりました。
一人と二頭と一羽は、鬼ヶ島に付きました。
そして、信じられない光景を目にしました。
「お父さん······?」
桃太郎は、鬼と仲良く宴をしていました。
桃太郎には、大きな牙が生えていました。ただ、他の鬼と違って角はありません。突っ立っていると、桃太郎がこちらを振り向きました。
「桃太······、帰れ」
「嫌だ!」
桃太は首を振りました。
「駄目なんだ、桃太。これ以上知ってはいけない」
「僕は、僕は鬼退治に来たんだ! もし鬼なら、お父さんも殺らなきゃいけないんだ!」
「やめろ、今なら戻れる」
桃太は、刀を構えていた。
「僕は、お父さんを救いに来たのに······。お父さんは鬼だったの?」
「去れっ!」
ビクッと、桃太は固まりました。狼も尾を巻き、タヌキもへっぴり腰になり、鳩は狼に隠れました。
桃太は、それでも言いました。
「僕は、鬼退治に来たんだ! 邪魔しないでよ!」
桃太は、桃太郎の隣の赤鬼を切りつけました。簡単に倒れました。青鬼も切りつけました。なにか、言いながら倒れていきました。
いっぱい倒しました。
狼とタヌキと鳩の分も倒しました。
桃太は、返り血で赤く染まっていました。
足元には、桃太郎が倒れていました。桃太は荒く息をして、泣いていました。後悔していました。
桃太郎の言うことを聞けばよかったと。
桃太は見てしまいました。
必死に子供を守るため、角のない小鬼を桃にいれる姿を。泣きながら桃を海に流す母鬼を。
「僕は、鬼だったの?」
お供の狼とタヌキと鳩は、鬼の死体に潰されて、死んでしまいました。
桃太が、全部をめちゃくちゃにしてしまいました。桃太は、同族殺しです。角のない小鬼は、桃に入れて流されることを知ってしまいました。
桃太は、勝ったとおばあさんに伝えるために、帰ることにしました。おじいさんは居なかったと、泣きならが伝えることにしました。
真実を知る者は、もう桃太しかいません。
おしまい。
めでたしめでたし。
ど こ が 「 め で た し 」 や ね ん
しょぅゆ。
2023/01/20 17:07:04 違反報告 リンク
@しょぅゆ。
鬼退治に行けてよかったね、桃太(´^ω^)
って感じですかね······?(作者)
くろねこらいふ
2023/01/21 2:11:54 違反報告 リンク
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ハッピーハロウィン( ・∇・)
2023/10/31 6:08:31 くろねこらいふ 1
ULOGハロウィン企画に参加させたいただきました、くろねこらいふです。 こんな感...
雑談 ともぼ イラスト 推しへの愛を語ろうの会 御初 募集 短文 拡散 御友達募集 #ULOG異世界転移 プロセカ バトン いいねチャレンジ 友達募集 すとぷり #限界オタク参戦!! 把握会回答 企画 推し 星のカービィ いいね分け
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