snow,amber,and beauty【企画参加】

一行小説 短編小説
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君の、その柔らかな髪に顔を埋もらせる。この国の人ではないことを示す、黄金の、長い髪。
余りにも質量感がないそれを愛でていたから、夢か現か分からなくなって、頬を抓ってみた。矢張り痛い。痛みは生きているという実感をもたらしてくれるから、嫌いではない。最も、嫌いではないというだけで、好きかどうかを問われたら困るのだけれど。

薄いレースのカーテン越しに覗く外の世界では、雪の精が舞い踊っているようだった。白銀、にしてはすこし空が透き通っていたけれど、それでも十分に美しい、のだろう景色だった。
美しい、その定義は一体何処にあるのだろうか。君に出会ってからずっと、答えを見失ったままだ。理由は、君の、犯しがたい美しさに呑まれてしまったから、だと思いたい。想像を絶するまでの美、は、それを見るものの感性を大きく捻じ曲げてしまう、らしい。良い意味でも、悪い意味でも。

すこし撫でるだけで跡が付いてしまう、柔らかい金髪。トルマリンの如く、グリーンとブルーが混じり合った深い色の瞳。桃色のふっくらとした頬。
全てが綺麗で、だからこそそこには非現実感が漂っている。作り物めいている、とでも言おうか。ドールにあるような、整い過ぎた美しさだ。
君の歪んだそれに魅入られてしまったが故に、きっと私の世界は破壊し尽くされてしまったのだろう。
君に惹かれなければ、否、出会わなければ。いつだって運命の女神は残酷だ。

「ねぇ、今日は雪が降ってるよ」

私が放った言葉は、冬の澄んだ空気に宙吊りになって、何処かを彷徨う。
勿論、返事は、ない。もう二度と、君から返ってくることもない。
それが寂しくないと言えば、嘘になってしまうけれど。

「君は、雪が好きだったね……」

好きなものに囲まれて暮らすのは幸せ。
ならば、雪に埋めてあげるのが、せめてもの餞になるだろうか? ……例えノーなのだとしても、信じる者は報われる、はず。

いつまでも一緒にいたい、のだけれど、それにはきっと無理があるから。そうそう引き延ばす訳にもいかない。
今日、君にしばしのさよならを告げよう。いつかまた会える日まで……

「有難う、大好きでした」

優雨


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